戦後日本経済史

2月15日のブログ「世界経済危機」に続き、野口悠紀雄氏の経済に関する本を読んでいます。

戦後日本経済史 (野口 悠紀雄 新潮社)

戦後日本経済史 (新潮選書)
新潮社
野口 悠紀雄

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初版は2008年の1月ですので、比較的最近の本です。「週刊新潮」に2006年8月から2007年7月までの掲載「戦時体制いまだ終わらず」をまとめたものです。感想を以下、箇条書きします。

・本書は、サブプライム問題(2007年9月ごろ発生)の直前に書かれた内容ですが、現在の世界経済危機や国内産業の問題点について予想しているという点で優れています。

・本書は経済の歴史書ですが、ただの史実の羅列ではなく一貫した主張があります。「戦後の日本経済は、戦時期に作られた経済体制のままである。この体制が今、深刻な機能不全に陥っている」ということ。

・一般的には、現在の日本経済は戦後のGHQによる占領政策で確立したと見られています。本書での主張はそうではなく、1940年ごろの戦時経済体制によって確立したと述べます。筆者はこれを「1940年体制」と呼びます。
#企業における主な資金調達方法が株式ではなく銀行に(間接金融)
#日本銀行法が制定(改正されたのは1998年とごく最近)
#直接税の確立(源泉徴収等)
#公的年金制度の確立(著者は「国家的ネズミ講」と断じる)
#「資本と経営の分離」の推進(株主を軽視した企業経営)
#戦時産業(電力、製鉄、自動車、電機。その後の経済の主役)
#労働組合の前身「産業報国会」が設立
#農地・土地制度改革
#経団連の前身「統制会」が設立

・野口氏は大蔵省出身であるため、戦後の経済を学者だけでなく当事者として意識しています。特に90年代のバブル崩壊は本人にとって「オンリー・イエスタデイ(たった昨日のこと」とのこと、だそうです。

・勉強になります。
#終戦前後の霞ヶ関での動きについて。
#戦後数年における地主階級の没落とインフレについて。
#石油ショックについて。
#バブル崩壊と、山一證券や長銀の罪について。

・今後、どうすればいいのか?これについては著者も悩んでいるようです。いくつかの提案はなされているようですが、確固たるものではなさそう。